大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和33(オ)326 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人山中静次の上告理由第一点について。

原判決が一審における昭和二八年一月二二日午前一〇時の口頭弁論調書に原告は

被告B商事株式会社に対する訴を取下げる旨陳述し、同被告訴訟代理人は右取下に

同意した旨の記載は誤記であるとの事実は認められず、上告人は一審において、被

告B商事株式会社に対する訴を取下たものと認定したことは、証拠関係からこれを

肯認し得るところである。従つて原判決は、右B商事株式会社に対する控訴を却下

したのであつて、原審の右措置は相当である。

論旨は独自の見解に立つて、原審の適法になした証拠の取捨判断、事実の認定を

非難するに帰し、原判決に所論の違法はなく、論旨は採るを得ない。

同第二点(イ)(ロ)について。

原判決が本件第六次強制疎開においては、戦局は危急となり、空襲は益益苛烈と

なつたので、東京都は第五次強制疎開以前の場合の補償方法と異り、一定の基準に

従つて、建物と借地権とを一括して補償することとしたが、結局右第六次強制疎開

の場合においても、第五次強制疎開までと同じ様に、疎開建物敷地の借地権を借地

権者から譲渡せしめる目的で、補償金を支払つて買收し上告人もまたこの事実を諒

承して、本件土地上の建物の補償金を受領し、もつて暗黙のうちに、本件土地の借

地権を東京都に譲渡したものと認定したことは、証拠関係からこれを肯認し得ると

ころである。論旨は独自の見解に立つて、原判決の適法になした証拠の取捨判断ま

たは事実の認定を非難するものであつて、原判決に所論の違法は存せず、論旨は採

るを得ない。�

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同第三点について。

論旨は原判決は戦時防空等の必要上東京都は行政官庁として、通常の方法によら

ず、借地権を收用し得るものなりと判示し、また東京都は本件において借地権の補

償につき建物の補償価額中に包含せしめ之が補償をなしたりと為し、特別に之が補

償をなさざるが如きは憲法二九条、九九条等に違背するものと主張するけれども、

原判決が東京都は本件第六次強制疎開においては、第五次強制疎開以前の場合の補

償方法と異り、一定の基準に従つて、建物と借地権とを一括して補償することとし

たが、結局右第六次強制疎開の場合においても、第五次強制疎開までと同様、疎開

建物敷地の借地権を借地権者から譲渡せしめる目的で、補償金を支払つて買収し、

上告人もまたこの事実を諒承して、本件土地上の建物の補償金を受領し、もつて暗

黙のうちに、本件土地の借地権を東京都に譲渡したものと認定したことは右第二点

に述べたとおりである。従つて論旨はその前提を欠き採るを得ない。

同第四点について。

原判決は昭和二〇年一一月一二日附で東京都板橋区長は各土地所有者に対し「建

物疎開跡地処理に関する件」と題した書面を送り、建物疎開跡地の賃借を申入れた

ことを認定しており、右は証拠関係から、これを肯認し得るところである。

論旨は原審の適法になした証拠の取捨判断または事実の認定を非難するに帰し、

採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

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裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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